地域別結納飾り(関東式、関西式、九州式の結納飾りの違い)
前回、結納品の意味と読み方という記事で、結納品そのもののお品についての説明をさせていただいた時に、地域により結納飾りの規模や大きさ、その姿形が違うという事は、少しお話をしたところですが、今回はもう少し詳しく書いていきます。
一般的な区切りは「関東式結納」「関西式結納」「九州式結納」の3つに分けられます。コンパクト結納と言われる略式結納に関しては別記事にしますので、今日はとりあえず一般的な「関東式結納」「関西式結納」「九州式結納」の3つのことを書いていきます。
関東式結納を行う地域は、関東(静岡込み)地方、甲信越地方、東北地方、北海道地方です。沖縄の結納も関東式結納で行われていると聞きます。
関西式結納を行う地域は、関西地方、近畿、中国地方、四国地方です。
九州式結納を行う地域は、沖縄を除く九州地方です。
まずこの違いについてですが、とにかく見た目が全然違います。本当に同じ結納品を表しているのかが疑わしいほどに違います。値段の違いに関してはピンキリがありますが、やはり豪華な飾り付けである九州地方の結納品が一番値が張るようです。
また、地域によっては常識である風習が、他の地域ではタブーであるという内容もあります。例えば、一般的に結納式で緑茶を出すのはタブーだと言われ、桜茶や昆布茶をお出しすることが常識だといわれています(『お茶を濁す』ことにならないように、との意味合いです)が、九州地方ではお茶を『御知家(おちゃ)』として、結納品の一つに加えられます。これは、他の地域では無いことです。
基本的には嫁、婿を迎える立場である方(一般的には旦那さん側です)の地域性に合わせた結納品を準備するというのが正解なのですが、例えば各地域の特別な風習があったり、嫁さん側の家庭での希望などがありましたら十分考慮し取り入れても良いと思います。
できれば、前回の、結納品の意味と読み方という記事を重ねて読んでいただければわかりやすいと思います。
関東式結納品
とりあえず9点セットをお手本として貼ってみました。右から、目録・のし・結納金・鰹節・スルメ・コンブ・友白髪・末広・家内喜多留
白木台の上に、横一列に隙間なく並べられているのが特徴です。祝儀盆などと呼ばれる黒いお盆に入れる場合もあります。それぞれが、装飾された水引で結ばれています。「お飾り」としては派手さは他の地域よりも少ないのですが、小さなスペースでも収まり、家の大きさなど構わずどんな家にでも飾ることができます。
関西式結納品
こちらも9点セットです。一番上が左から、梅(松魚料)、竹(柳多留料)、松(結納金)。真ん中が左から末広、高砂人形、熨斗。一番下が、左からコンブ・指輪・スルメです。
並べ方に関しては、その飾る場所や床の間の広さなどで異なるでしょうが、基本的には一品ずつ足のある白木台や黒塗り盆などで飾ることが多いようです。関東式結納品と違い随分と装飾としての意識を強く感じます。松・竹・梅の木をモチーフにした飾りや、鶴と亀をおもわせるのは、派手な水引です。水引のほうがもはや主役のような感じにもみえますね。
コンブやスルメなんか、関東式結納のものと比べると見た目も量も全然違いますよね。「近所に配る」という名残りはこういったものから来ているのだと思えると納得な気もします。
九州式結納品
こちらも9点セットです。左上から、御知家(お茶)、梅(コンブ)、竹(スルメ)、松(結納金)、下の段は左から、指輪、高砂人形、末広、熨斗。そして角樽です。
関西式と似ているようで、ちょっと違います。関西式では梅や竹の下には現金を飾っていますが、関西式結納の柳多留料にあたるのが九州式結納の角樽、関西式結納の松魚料にあたるのが、本物の魚(鯛など)2匹を一緒に飾ったりするものです。
こんな感じ。2匹いるのは、夫婦を現しており、昔から鯛は夫婦で一生連れ添うといわれていて縁起が良いものだと言われています。飾ったあとは、魚に関しては結納品を頂いた側が調理し、角樽の酒を飲み、それで祝宴を行うというものになります。
九州地方は結納を重要な儀式として重んじているところが多く、結納飾りもやたらと派手で豪華なものが多くなります。
次は最近では多くなってきている略式結納に関してです。
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